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航空貨物運賃の常識 | 仕組み・実践運賃・専門用語まで解説

航空輸送

この記事では、航空運賃の仕組みや専門用語についてご紹介していきます。

国際航空輸送をする上で必須の知識になりますので、是非最後までご覧くださいね。

航空運賃の仕組み

ホワイト国

航空貨物運賃は、大きく以下3つの種類があります。

1.一般貨物賃率(GCR:ゼネラル・カード・レート)
2.特定品目賃率(SCR:スペシフィック・コモディティ・レート)
3.品目別賃率(CCR:コモディティ・クラシフィケーション・レート)

まず基本となるGCRを見ていきましょう。

航空貨物運賃体系の基本は「重量逓減制」です。これは大口貨物は割引される料金体系です。

輸送する貨物が重くなればなるほど、1KG当たりの運賃単価は低くなります。

つまり、運賃重量段階は数段階に分かれていて、段階が上になればなるほど単位重量当たりのレートは低く設定されています。

多くの荷主から小口貨物を集めるフォワーダーはできるだけ貨物をまとめて重くした方が、航空会社に支払う運賃の単価は低くなるのです。

次に、SCR(SCR:スペシフィック・コモディティ・レート)は品目別に設定された運賃です。

対象品目は四ケタの品目番号で分類されていて、路線別に細かく設定されています。

GCRより割引になっているケースがほとんどです。

CCR(CCR:コモディティ・クラシフィケーション・レート)は、対象となる地区間または地区内の特定品目の運送に適用されている運賃で、通常はGCR45KG未満賃率に対する割引や割り増しで表示されます。

また、運賃は発地国通貨建てで表示されています。

例えば東京とニューヨーク間では、東京発が円建てで、ニューヨーク発がドル建てです。

現在の為替相場は変動制ですから、運賃は現地通貨建てにした方が額が変わらず分かりやすいですよね。

日本の航空会社にとってみれば、円高に振れれば輸入貨物の円換算運賃収入が減りますが、逆に円安になると円換算運賃収入は増えます。

運賃は、国際航空運送協会(IATA)が路線ごとに決めますが、関係国政府の双方が認可しないと発効しない建前になっています。

例えば、東京~ソウル間の運賃ですと、日本、韓国両政府が認可しなければ使えません。これを、ダブル・アプルーバル制といいます。

TC1、TC2、TC3とは?

TC1~TC3は、国際航空運送協会(IATA)規則に基づく地域区分のことです。

世界を大きく3つに分けていて、TC1は南北アメリカ、TC2はヨーロッパ、中近東およびアフリカ、TC3はアジアおよびオセアニアとなっています。

一般的に、どこまでがアジア、どこまでが中近東かという議論はよくありますが、地域区分は明確に分けられています。

TC3に含まれる地域は、西はパキスタンからアフガニスタンまでです。イランからはTC2になってきます。

また、ヨーロッパとアジアにまたがるロシアはウラル山脈を境に西はTC2に、東はTC3に所属します。

ウラル山脈より東にあるウラジオストクやハバロフスクなどはTC3に、西にあるモスクワやサンクトペテルブルクなどにはTC2にそれぞれ含まれます。このほか、グリーンランドはTC1に含まれます。

TCの意味についてですが、トラフィック・カンファレンスの略です。カンファレンス(会議)と言われるくらいですから、地域の特性に基づいた運賃などの決まり事をつくるときには、TC区分に添った会議が開催されます。

TCという大きな区分の下には、さらに細分化したサブエリアも設定されています。

TC3の中には日本/韓国地区を指す日本/韓国サブエリアのほかに、南アジア亜大陸サブエリア、東南アジアサブエリア、南西太平洋サブエリアという3大エリアがあります。やはり地域による特性などを考慮しての分割となっています。

また、アルジェリアはアフリカ大陸でありながらも、TC2内のヨーロッパサブエリアとされているほか、エジプトやスーダンは中東サブエリアに分類されています。

このように地理上の位置関係だけではなく、いろいろな要因を考慮してサブエリアが細かく分類されているのです。

TCは、運賃設定の区分としてだけでなく、航空運送上の地域区分として頻繁に使われていますから、覚えておきましょう!

実勢運賃とは?

実勢運賃

航空貨物の運賃には、航空会社運賃と、フォワーダー (利用運送事業者)の混載運賃の二種類があります。

航空会社の運賃は、国際航空運送協会(I ATA)で決定したものを発着地点のある両国政府が相互承認することによって正式なものとして発効します。

フォワーダーの混載運賃は、航空会社から仕入れた運賃に運営コストを足し、さらに適正水準の利益を見込んだ上で設定されます。

以前はフォワーダーが国土交通省に混載運賃を申請する場合、事前に原価計算書を添えて届け出ていましたが、二〇〇三年四月施行の「貨物利用運送事業法」(改正貨物運送取扱事業法)では原価計算書を添える必要がなく、事後に届け出ればいいことになりました。

フォワーダーは、航空会社から期間を決めて大量のスペースを仕入れるため、数量割引の適用によって安い運賃を得ることができます。

このため運営コストおよび適正利益を上乗せしても、通常は航空会社の運賃より安く設定されています。

ただ、これらはあくまで正規運賃の話です。実際、航空会社とフォワーダー、フォワーダーと荷主との間では、正規運賃を下回る「実勢運賃」で取り引きされるケースがほとんどです。

これを「マーケットレート」という言い方もあります。

なぜ、正規運賃を下回る運賃が存在するのかというと、昔に比べ多くの航空会社が活動するようになり、世界的に競争が激化したからです。

米国では70年代から航空会社間の競争を促す規制緩和政策をとってきましたが、80~90年代にはこれが全世界に広がり、発展途上国からの参入が増えました。

先進各国でも複数の航空会社が活動するに至っています。 多くの航空会社が活動することでスペースの供給量が増え、その結果、安売り競争が始まるという図になりました。

スペース供給が増えた分、航空貨物輸送の需要量が増加すれば特に問題ないのですが、ほとんどのケースでそれはなく、供給が勝るために競争が激しくなり、安い実勢運賃が生まれることになります。

これはフォワーダーの混載運賃にも同じことがいえ、フォワーダーが航空会社から実勢運賃で仕入れたスペースを、大口の荷主に安い実勢混載運賃で提供するケースがあります。

従って貨物運賃は、正規運賃と実勢運賃の二段階の構造になっていることを知っておく必要があります。

今大きな問題になっているのは、需給バランスが崩れたまま長い間、二段階運賃の構造が放置されてきたことで、正規運賃と実勢運賃の開きがあまりに大きくなり、修正がほぼ不可能な状況となってしまっていることです。

混載運賃は、航空会社運賃よりも安いのか?

フォワーダーが荷主から混載貨物を受け付ける場合に提示する運賃のことを混載運賃(利用運送事業運賃)といいます。

混載運賃は国土交通大臣に対する届出制です。そして、混載運賃は、航空会社の公示貨物運賃よりも安く設定されることがあります。

フォワーダーは複数荷主から集荷した貨物を同じ仕向け地にまとめ、自ら荷送り人もしくは荷受け人となり、航空会社と運送契約を結んで貨物を航空機に搭載します。

航空会社の貨物運賃は重量逓減制、つまり貨物が大口になればなるほど料率は低くなります。

フォワーダーは、複数荷主から集荷した貨物を大口にまとめることで料率の低い航空会社の高重量帯運賃の適用を受けます。

混載運賃も、航空会社運賃と同じような重量逓減制になっていますが、混載貨物として荷主か ら集荷するのは通常小口貨物です。

軽量貨物は、料率の高い運賃帯になります。つまり、軽量貨物を料率の高い運賃で集荷してまとめ、料率の低い航空会社の大口割引運賃の適用を受けるわけです。

そこに差益が生じます。その差益は混載差益と呼び、フォワーダーの主な売上となっているのです。

航空会社は、貨物運賃の重量段階が高くなると運賃の料率が低くなる重量逓減制を採用しており、重量帯別に運賃が決められています。

そこに一つのマジックがあり、もう一つ上の重量帯の運賃を適用した方が安くなるケースがあります。

例えば四十五キログラムまでの料率を一キログラム当たり千円、四十五キログラム以上の運賃を一キログラム当たり八百円とします。

四十キログラムの貨物を搭載した場合、四万円になりますが、四十五キログラム以上とみなせば、四十五キログラム×八百円=三万六千円となります。

この方法は「as2」(四十五キログラムとみなすという意味)とも呼ばれています。

航空貨物運送協会(JAFA)がまとめた二〇〇三年度の輸出航空貨物取り扱い実績によると、 混載貨物取扱量は百三万九千三百九十七トンで、直送貨物(フォワーダーが航空会社の代理店と して集荷した貨物)を加えた総量百七万九千六百二十トンに対するシェアは九六・三%。つまり、 九割方の貨物は混載貨物として集荷されているわけですね。

従って、ほとんどの荷主はフォワー ダーと混載貨物輸送の取引をしていることになり、混載運賃が適用されているわけです。

ただし、航空運賃同様、フォワーダーが国交省に届け出ている混載運賃は形がい化しています。

従って、前段で述べた航空会社運賃と混載運賃との関係もあくまで基本的なものであって、実際には航空会社とフォワーダーはもっと異なる取引をしています。

つまり、重量逓減制運賃による混載差益というよりも、現実的にはフォワーダーは航空会社から安いレートでスペースを仕入れて、その上にマージンを乗せて荷主に提示している状況となっております。

国際航空輸送の基礎知識のご紹介でしたがいかがだったでしょうか?

弊社、株式会社みかん箱では荷主様から貨物をお預かりし、世界各国へ輸送しております。

コロナの状況でも、輸送経路を確保しておりますのでお気軽にご相談ください。