この記事では、海外で親族が亡くなり、日本に遺品を国際輸送する流れをご紹介します。
『遺体』輸送の場合は、現地に趣き親族が必要な手続を行い、基本的に航空輸送で日本に遺体を輸送しますが、残された『遺品』も例外ではありません。
ここからは、外国で親族が亡くなり、日本に遺品を送る流れを解説いたします。(日本から外国に遺品を送る場合は逆の流れとなります。)
目次
遺品の取扱い方法を決める
現地に趣き、親族の住居で物量を確認しますが、その際、日本に戻すのか、現地で処理するのか判断する必要があります。
①現地から日本に国際輸送
②現地でリサイクル販売
③現地で廃棄
①の場合、日本に別送品として輸出する必要がありますので、別送申告書に必要事項を記入の上、税関手続きを済ませ国際輸送の手配をします。原則20万円までは、免税扱いとなり関税は発生しませんが、商業量や高額な物品は、一般貨物として輸出手続をする必要があります。
②③の場合、現地のリサイクル業者、廃棄業者に荷物を引き渡す必要があります。日本国内においても海外現地の遺品リサイクル引き取りが可能な業者が存在しますので、現地で処理したい場合には問合せをしてみましょう。
①の日本に遺品を国際輸送する場合で、一般貨物として申告するケースになった場合の、手続きの流れや必要書類について解説してまいります。
(※)遺品輸送の場合、現地の医師などから発行された死亡証明書が必要になる場合があります。現地に赴いた際は、発行された死亡診断書を紛失しないようご注意ください。
(※)海外現地から日本に遺品を送ることが決まっている方で、現地での梱包、内国輸送、輸出入手続方法など一貫して任せたい方は、弊社国際輸送サービスMIKANBAKO(みかん箱)までご連絡ください。残された大切な遺品を丁寧かつ安全に国際輸送しご自宅までお届けいたします。
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遺品の輸出入手続きの流れ
ここからは、外国から遺品を輸出して、日本で遺品を輸入〜納品までの一般的な流れについてご紹介します。
30kg以下の軽量荷物については、日本郵便に輸送依頼すれば、日本郵便の責任で貨物が運ばれ、20万円以下の遺品については免税で日本国内に輸入することができます。
しかし、重量物の輸送もしくは20万円以上の遺品になりますと、商業貨物として自らが輸出者として責任をもって輸送することとなります。
とは言っても、実際の業務は、弊社のような貨物代理店が全て請け負いますから、気楽に読み進めていってください。
1.フォワーダーに国際輸送を依頼
輸出する遺品、輸出先、納期が決まればフォワーダーに問い合わせしましょう。
このとき、遺品の品名、数量、重量、容積を担当者に伝えれば、見積と実際の予定納期を出してくれるでしょう。
2.通関書類を作成
海外から日本へ輸出する際には、現地税関に輸出申告をし、必要な審査・検査を経て、輸出許可を得る必要があります。これを通関手続きと言います。
この税関手続きの際に必要になるのが「通関書類」です。
輸出の際の通関書類には主に「インボイス(仕入書)」「パッキングリスト(梱包明細書)」が必要になります。
インボイスには、輸出入者名・契約条件・品名・数量・価格・原産地などが記載され、パッキングリストには、貨物の数量、重量、容積などが記載されます。
基本的には、輸出者様に作成していただく書類ですが、ご要望があれば弊社では通関書類の作成も代行しています。
3.貨物を梱包する
日本へ荷物を送る場合、輸送中の揺れや衝撃による破損に備えるため、貨物に合わせて適切な梱包が必要になります。
梱包方法には、強化ダンボールやバリア梱包、スチール梱包など、様々な梱包方法があります。弊社では提携先の梱包業者があるため、リーズナブルで梱包を代行することも可能です。
梱包の種類について詳しく知りたい方は以下記事も参考にしてください。
4.保税地域に遺品を搬入
通関書類を作成し、貨物の梱包が完了したら次は、現地空港(港)の保税地域という倉庫に貨物を配送します。
保税地域とは、これから輸出する貨物や、外国から到着して関税が支払われていない貨物(外国貨物)を一時保管する倉庫のことです。
原則、この保税地域に貨物が搬入されたら、税関に輸出入申告が可能になります。
5.輸出通関手続き
通関手続きは、専門的な知識と経験が必要であるため、通関業者に依頼することが一般的となっています。
弊社にも提携している通関業者がおり、数千円程の手数料で迅速に輸出通関手続きを行うことが可能です。
輸出通関手続きは、税関に対して、輸出する貨物や数量、重量を申告して許可をもらう必要がありますが、
関税法や海外現地の法律、書類作成の知識がなければ相当な手間となりますから、専門業者に任せることをお勧めします。
無事税関から輸出の許可を受けたら、貨物は「外国貨物」としての性質を持ち、日本へ輸出できるようになります。
6.貨物搭載・輸出
輸出許可を受けた遺品は、順次、航空機(船)に搭載され日本に向け出発します。
また、航空会社や船会社に遺品を預けると同時に預り証としての証明書が発行されます。
航空便の場合には「Air Waybill(エアーウェイビル)」、船便の場合は「Bill of Lading(B/L:ビーエル)※」が発行されます。この時点で、海外現地側での輸出手続きが完了となります。
日本側で輸入通関手続きをし、貨物を受け取るために必要となる、Air WaybillもしくはB/Lが日本のフォワーダーに送られ、書類と遺品が日本に輸送されていきます。
7.日本到着(保税地域搬入)
無事日本に到着した遺品は、空港(港)の保税地域に搬入されます。
日本から見れば、外国から送られてきた貨物は外国貨物に当たるため、危険なものではないか?輸入制限がかかっているものではないか?などを日本の税関でチェックをし、関税が払われて問題がなければ輸入許可を出します。
遺品が到着したらすぐに引き取りたいのは山々ですが、必要な手続きと納税を終えたあとに国内に引き取ることができます。
8.輸入(納税)申告
保税地域に遺品が搬入されたら、税関に対して輸入(納税)申告を行います。
このとき、外国側で作成したインボイス(仕入書)、パッキングリスト(梱包明細書)、Air WaybillもしくはB/L、保険を掛けていたら保険明細が必要になります。
日本側で迅速に輸入申告ができるように、事前にこれらの書類は日本のフォワーダーに送っておくことが重要です。
9.日本国内に引き取り〜納入
日本の税関から輸入許可を受けた遺品は、国内に引き取れるようになります。
納入先までのトラックの手配は基本的に、通関業者が代行してくれますので安心してください。
これまで、基本的な遺品輸送の流れを解説してきました。実際の実務はもっと複雑にはなりますが、フォワーダーを利用して遺品を日本に輸送する場合には、大まかな流れを知っておくだけで問題ありません。
遺品の国際輸送に必要な書類
基本的には、一般貨物と同様の書類が必要となりますが、場合によっては海外現地で発行された死亡証明書が必要になりますので、紛失せずに保管しておきましょう。
ここでは海外から日本への輸出の際に必須となる書類一式をより詳しく紹介していきます。
INVOICE(インボイス/仕入書/商業送り状)
インボイスは、輸出者が作成するもので、遺品の明細、通関書類として、様々な役割を果たします。
記載される主な内容は以下の通りです↓
荷送人(売主)、荷受人(買主)、出港日、インコ―タームズ(貿易条件)、支払い条件(決済方法)、品名、数量、単価、合計金額、原産国…
インボイスには、どんな物を、何個、いくら分輸出するのか記載します。また、誰から誰に輸送するのか、契約内容を反映した明細を作るイメージを持つと良いでしょう。
現地税関はインボイスをチェックし、貿易統計を取るとともに、「輸出してはいけない物ではないか?」「虚偽の記載はないか?」「輸出金額は妥当か?」など、現地法律に基づき厳正な審査を行います。
日本に貨物が到着したあとも、同じインボイスを提出して「輸入通関手続き」が行われます。
Packing list(パッキングリスト/梱包明細書)
パッキングリストは名前の通り、梱包明細書の役割を果たしています。遺品の個数、重量はもちろんのこと、荷姿など、より細かい遺品の状態が記載されます。
例えば、1カートンには12ピース入っているなど、物量が細かく把握できるように明記することが求められます。
パッキングリストは意外にも、通関時の必須書類として規定されていませんが、実際の通関のときにはパッキングはないの?と税関職員に求められますので、必ず作成しておきましょう。
パッキングリストを提出しないと貨物の状態が把握できないため、貨物検査になる可能性が高く、通常よりも通関手続きが長引いてしまいますし、費用もかさみます。
Shipping Instructions(シッピングインストラクション/船積依頼書)
これは船積指図書(ふなづみさしずしょ)とも言われ、荷主(輸出者)がフォワーダーに輸送依頼をするときに渡す書類になります。
この書類をもとに、航空運送状(Air Waybill: AWB)や船荷証券(Bill of Lading: B/L)が作成されますので間違いのないように作成しましょう。
船積指図書は、決まった雛形はありませんが、ある程度の様式は決まっていますので、依頼先のフォワーダーに確認してみましょう。
委任状
ここでの委任状とは輸送依頼をするあなたが、通関手続きを代理する通関業者に提出する書類になります。
通関業は、依頼主から初回のみ委任状を受け取る必要があるため、はじめて依頼する場合には、「御社(通関業者)に通関はお任せしますよ〜」という内容の委任状を作成する必要があります。(こちらもフォワーダーや提携先の通関業者が雛形を持ってますので安心してください。)
基本的に、上記4つの書類が必要になりますが、場合によっては輸出貿易管理令に関する「該非判定書」などの追加書類が必要になるケースもあります。遺品の内容を確認し、他法令に該当しないかフォワーダーに確認してもらいましょう。
イレギュラーな場合は、フォワーダーが丁寧にアドバイスをくれたり、代行してくれますので安心してください。
①遺品ごとに日本に輸送するか現地で処理するか決める
②死亡証明書は各種手続きで必要になる可能性があるため紛失しないよう注意
③商業量や高額な物品は一般貨物として取り扱われ必要な申告と納税が行われはじめて日本国内に引き取ることができる
④遺品の国際輸送は書類作成~輸出入手続きまで一貫してフォワーダーに依頼することができる
海外から日本へ遺品を輸送することが決まっている場合には、お気軽に弊社国際輸送サービスMIKANBAKOまでお問い合わせください。