マレーシアに貨物を国際輸送しようと思うと、これら疑問を持たれるかと思います。
- 輸送日数や費用はどれくらい?
- 航空便、船便どっちが良いの?
- 法規制には何がある?
国内で宅急便を利用するときは、配送センターやコンビニに荷物を持ち込めば済みます。
しかし、国際輸送になると、通関手続きが必要になったり、輸送先の国で輸入できない物があったり、事前に現地の輸入許可を受ける必要があるなど、法律を知り、様々な手続きを行う必要があるのです。
この記事では、マレーシアへ貨物を輸送する方が、知っておくべき必須知識を一挙に紹介します。
スピーディーかつ安全に国際輸送をするために、ぜひ最後までご覧くださいね。
目次
マレーシアの輸送手段と日数
マレーシアに貨物を輸送するために依頼する業者は、大きく分けて「日本郵便」「国際宅急便」「フォワーダー」の3つの手段があります。
どこに依頼をすれば良いのか、その判断基準をご紹介しましょう。
「日本郵便」は、30kgまでの少量貨物を国際輸送することが可能です。それ以上の荷物になると、国際宅急便や弊社のようなフォワーダー(国際複合輸送業者)のご利用が必要になります。
個人様で30kg以下の極少量貨物を輸送する場合には、郵便局に荷物を持ち込めば荷受けをしてくれます。
ちなみに、国際eパケットライト(SAL便)を利用すれば、530円~荷物を輸送してくれます。
「国際宅急便」は、佐川急便やヤマト便の「国際版」と理解して頂ければ間違いはありません。50kg程度のものまで輸送してくれます。
30kg以下なら郵便局が一番安く輸送できますが、30kg~50kgなら国際宅急便を利用して下さい。50kg以上の重量物を輸送する場合には、フォワーダーの管轄になります。
「フォワーダー」は、航空会社・船会社・通関業者など、国際輸送するために各業者と幅広いネットワークを保有している貨物代理店です。
輸送スペースを一般よりも安く購入し顧客に提供するので、荷主様も輸送費用を抑えつつ、国際輸送業務を任せることができます。
フォワーダーを利用すれば、スピーディーに輸送できることに加え、コストも抑えることができますので一石二鳥です。
また、郵便局や宅急便では、納品先の変更、貨物破損などの対応などは一切行ってもらえず全て自分で行う必要がありますが、フォワーダーは国際輸送を荷主に代わって一貫して代行するので、輸送プランの変更やトラブル時の対応も可能です。
一言で言えば、「融通のきく輸送業者」ということですね!
輸出入の大まかな流れ
極論、フォワーダーに輸送を依頼すれば、輸出入の流れなど知らなくても良いのですが、貿易をする者として全くの知識ゼロでは心許ないと思いますので、大まかな流れを分かりやすく解説していきますね。
(1)フォワーダーに輸送依頼
マレーシアに輸送ネットワークを持っているフォワーダーに輸送を依頼しましょう。依頼時には、貨物内容・重量・容積、そして向け地を伝えれば大まかな見積もりを出してもらえますので、情報を用意しておきましょう。
(2)通関書類の作成
後ほどご紹介しますが、輸出するにはインボイス(仕入書)やパッキングリスト(梱包明細書)などの書類を作成して、通関手続きを行う通関業者に提出します。
記載内容は、輸出入者名、品名、数量、単価など難しい情報の記載はありませんので安心して下さい。作成するのが面倒な場合はフォワーダーに依頼することも可能です。
(3)輸出貨物の梱包
国際輸送では、船便や航空便を利用しますが、大きな揺れによる貨物破損や、温度湿度の変化による貨物の変質が懸念されます。
温度湿度については、温度調整ができるリーファーコンテナなどを利用すれば問題ありませんが、揺れによる貨物損傷を避けるためには、徹底した梱包が必要です。
梱包方法が分からない場合は、以下記事を参考にされてください。フォワーダーに梱包を依頼することも可能です。
(4)保税地域に貨物搬入
貨物を海外に輸出するためには、保税地域という荷捌きをする倉庫に貨物を搬入する必要があります。
ここでは、貨物をコンテナに詰めたり(バンニング)、逆にコンテナから貨物を取り出したり(デバンニング、効率的物流のための作業が行われます。
(5)通関手続き(輸出申告)
保税地域に貨物が搬入されたら、税関に対して輸出申告を行い、輸出の許可を受けます。
申告は通常、通関業者と呼ばれる通関手続き専門業者が行います。フォワーダーが提携している通関業者に依頼するのが一般的です。
輸出許可を受けた貨物は「外国貨物」扱いになり、海外に輸出することができるようになります。
(6)貨物搭載・船積
税関から輸出許可を受けた貨物は順次、航空機(船)に搭載されます。天候不良などの問題がなければ、向け地に向かって離陸します。この時点で日本側での手続きは終了です。
(7)現地到着・保税地域搬入
無事向け地に到着すると、貨物は再び海外現地の保税地域に搬入されます。
ほとんどの国では「関税」が課されますが、その関税を支払うまでは保税地域で貨物が保管されます。
(8)輸入(納税)申告
現地の税関に輸入(納税)申告を行います。
輸出の際は申告だけでしたが、輸入の場合は関税・消費税を納税する必要があります。申告は、フォワーダーが提携している通関業者が行うのが一般的です。
(9)納入
輸入許可を受けたら貨物を引き取ることが可能です。納入先へのトラックなどの手配は通関業者が行ってくれることが一般的ですが、フォワーダーが手配をすることも可能です。
ざっくりした全体の流れをご紹介しましたが、実際の実務はもっと複雑になることもあります。
フォワーダーを利用される方は、上記の内容を理解していれば問題ありませんので、説明はここまでにしておきますね。
マレーシアの輸入規制品目
マレーシアにおいては、輸入できない貨物(輸入禁制品)が規定されています。
これを知らずに日本から輸出してしまうと、マレーシアに到着してから、現地の税関で輸入拒否をされてしまいます。その結果、貨物は日本に積み戻ししたり、廃棄することになります。
また、事前に現地の確認を受けておく必要のある貨物もあります。
国際貿易産業省や現地省庁などの国家機関に「これから、この貨物送るよ〜!」と伝えて了解を得る必要があるということですね。
具体的にどんな貨物に適用されるのか見ていきましょう。
■マレーシアの輸入禁制品一例
これら輸入禁制品は絶対に輸入できないわけではなく、国から輸入ライセンスを取得すれば輸入することができます。輸入の目的や最終仕向人などの情報を審査され、問題なければ輸入できます。
■事前にマレーシア政府の確認を受けるもの
マレーシアで自動車を輸入する場合、国際貿易産業省から「輸入許可証(AP)」を取得する必要があります。これは、現地で輸入通関をする前に許可を受ける必要があり、輸入許可証(AP)を取得したら、輸入申告の際に添付して現地税関に提出します。
卵殻・動物の肉や骨・生きている霊長類(猿やキツネザルなど)・動物性油脂・生きている魚類・珊瑚など
ピストルのおもちゃ・模造手榴弾・武器,弾薬・公衆電話通信網に接続される機器・攻撃を守るための防弾ベストなど
サッカリン及びサッカリン塩・家庭,農業用の殺虫剤・農薬・医薬品
国の情勢を脅かす武器やその模倣品、生態系を壊す生物などは、他国でも事前確認が必要だったり、輸入が禁止されているものが多いです。
あなたがこれから輸出する貨物が、これらに該当していないか十分に確認しておきましょう。
もっと詳しく輸入禁制品・事前確認品を確認したい方は、下記ページを参照下さい。
参考:JETRO「マレーシア貿易管理制度」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/trade_02.html#block2
必要書類
ここからは、マレーシア向けだけでなく、貨物を輸出する際に必要になる書類をご紹介しましょう。必要書類の知識があれば、フォワーダーとのやりとりがスムーズですので、さっと目を通しておいてくださいね。
(1) INVOICE(インボイス/仕入書/商業送り状)
インボイスは、輸出申告の際に必要になる重要な書類です。輸出者が作成し輸入者に通知する書類でもあります。
何が書いてあるかと言うと、輸出入者名・決済方法・品名・数量・単価・契約条件など、契約条件の内容が記載されます。
税関は、インボイスの内容から輸出しても問題ないか、あらゆる視点から精査をして輸出許可を出します。
マレーシア現地に貨物が到着したあとも、現地の税関にこのインボイスを提出して輸入の許可をもらいます。インボイスの作成が面倒な場合は、フォワーダーが代行して作成してくれますので依頼しましょう。
(2) Packing list(パッキングリスト/梱包明細書)
パッキングリストは、その名の通り貨物の梱包状態や重量、サイズなどが記載されている書類です。通関手続きの際の必須書類にはなっていませんが、ほとんどのケースで税関からパッキングリストは求められますので、最初から用意しておきましょう。
(3) Shipping Instructions(シッピングインストラクション/船積依頼書)
船積依頼書は、輸出者がフォワーダーに提出する書類です。この書類を元に、航空運送状(Air Waybill: AWB)や船荷証券(Bill of Lading: B/L)が発行されますので、輸出するための必須書類と考えておいて間違いはないでしょう。
こちらもフォーマットがフォワーダーや通関業者で用意されているケースがほとんどですので、依頼先の業者に確認してみましょう。
(4) 委任状
はじめて通関業者に通関手続きを依頼するときは、委任状を作成して提出する必要があります。
通関業法という法律で定められていますので、通関業者は委任状を受け取らないと通関業務は一切行えません。こちらもフォーマットは、フォワーダー・通関業者が持っていますので確認してみて下さいね。
(5) その他
日本において貨物を輸出する場合は、関税法以外にも「輸出貿易管理令」などの他法令の制限を受けます。
この法律は、輸出した貨物が、核兵器や武器などに転用されないように輸出を制限するもの。
輸出する貨物が、規制品目に該当するのか「該非判定」をする必要があります。基本的に、貨物を製造しているメーカーが該非判定書を発行します。この該非判定書は輸出申告書に添付されます。
輸出される際には、他法令の許可・承認が必要になる場合がありますので、フォワーダーや通関業者に相談してみるのが一番早いでしょう。
最後に
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
マレーシアに輸出する際の、手段・日数・手続き・法律など、必要最低限の知識は網羅しているかと思います。
輸送費についてですが、こればかりは貨物の内容や物量次第で大きく変動します。
向け地や貨物、物量が大まかに決まっている場合には、一度弊社にご相談下さい。
早急にお見積りを発行して、具体的な輸送費とリードタイムをご提案させて頂きます。
輸出がはじめての場合は、調べること、やることが多すぎて大変苦労されることかと思います。
御社の輸出業務に少しでもお力添えさせて頂ければ幸いです。ご相談、お見積りは無料です。
弊社国際輸送サービス「MIKANBAKO」までお気軽にどうぞ。