通関手続きが長くて「一体いつになったら通関手続きが完了するの?」と思ったことはありませんか?
早く荷物を受け取りたいのに、なかなか通関が終わらないとイライラしますよね。
この記事では、
・個人向けのEMS貨物(国際スピード郵便)
・法人の一般貨物
この両者についての通関手続きに要する時間について詳しくご紹介します。
【 関連トピック 】
目次
法人貨物の通関手続きに要する時間
法人貨物の場合、次の流れに沿って国内に引き取りがされます。
↓
2.保税地域搬入
↓
3.輸入(納税)申告
↓
4.審査,検査を受けて輸入許可
↓
5.国内引取
本船が国内に到着すると、保税地域という場所に搬入されます。ここは、国内であっても外国として扱われます。
保税地域に搬入後、輸入(納税)申告をして、国内に入れても問題ない貨物として認められ、関税等の税金を支払うと、貨物は「外国貨物」から「内国貨物」になり国内に引き取ることができます。
この一連の流れに要する目安の時間は、財務省から発表されており、以下の通りです。
・航空貨物の場合:平均0.5日(着陸〜輸入許可)
(参考:財務省関税局「輸入手続きの所要時間調査第11回」2015年3月実施)
比べてみると、航空貨物の方が圧倒的に早く輸入許可になっています。
これは、空港に税関が常駐しているので審査,検査が迅速に進むことや、航空機は次のフライトスケジュールが数時間後に予定されていることも多く、何しろスピーディーに通関手続きを進めなければいけないのです。
海上貨物の場合は、荷揚げする貨物量が多く、コンテナターミナルも混雑するため、本船が入港した日に通関手続きをすることができません。
基本的に、コンテナヤードが、貨物搬入しましたよ〜という合図がなければ本申告ができず、輸入許可も受けることができないのです。
リードタイムを短縮するなら航空便を利用するほうが圧倒的に有利となります。
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通関手続きが遅れるマニアックな事情
通関手続きは、関税法,他法令など様々な法律をクリアすることで終了します。何か1つでも問題があれば、税関に指摘され、通関手続きはストップしてしまいます。
ここでは、通関手続きが止まってしまう通関担当者泣かせの事例を紹介しましょう。
インボイス記載ミス
輸入(納税)申告前に、通関士がインボイスなどの通関書類のチェックを行います。しかし、通関士も人間ですから見落とすこともあります。
例えば、インボイス必須記載事項の「貿易条件」の記載がない、決済手段が記載されていないなど、こういった見落としがあると、税関から指摘されて、インボイスの訂正が必要になることがあります。
そうなると、インボイスを発行しているのは輸出者(外国)ですから、国際間で連絡を取り、インボイスの訂正を行わなければいけません。
でも、担当者が休みだったり、すぐに対応してくれなかったり、時差の関係で対応が遅れるなど、様々な事情でインボイス訂正に時間がかかります。
輸入者としても、インボイスの必須記載事項を把握し、通関業者に書類を渡す前にチェックするとより迅速に通関が進むでしょう。
アライバル・ノーティスの発行が遅れる
本船が国内に入港すると、船会社から貨物到着通知(アライバル・ノーティス)が発行されます。
ここには、船会社に支払う運賃の記載がされており、運賃は申告価格に含まれるため、このアライバル・ノーティスが発行されないことには、輸入申告自体ができません。
特に外国の船会社の場合は、このアライバルの発行が遅れたり、忘れられることがあります。ですから、通関士が頻繁に電話をかけて催促を行います。
これは、船会社の対応次第なのでコントロールできませんが、できる限りしつこく船会社に催促の電話をするように、通関士にお願いをするしかありませんね…。
他法令の承認が下りない
例えば、食品を輸入する場合、検疫所に輸入する食品の原材料や製造工程、添加物などの情報を申請して承認を受ける必要があります。
この承認を受けなければ、絶対に輸入許可とはならず、国内に貨物を引き取ることができません。
よくある事例としては、システム上では輸入許可となっているのですが、食品届けがまだ承認を受けていないので、「輸入許可書」が発行されないケースです。
繁忙期は、検疫所が混雑しているので、承認が下りるのが遅くなることがあります。
大体、実績のある商品なら、午前中に申請したら午後には済書が上がってくるのですが、混雑していたりすると、翌日の午前中、遅いと午後に回されることもあります。
通関士は、午前中に申請して、夕方頃に済書が上がってこない場合は、検疫所に電話をかけます。
あまり催促すると、検疫所の職員さんが怒ってしますので、最終的には「待つ」しかないところがあります。
税関の審査が長い
逆に税関の審査が遅くなることもあります。繁忙期には税関職員も膨大な数の申告をチェックしています。
区分1(即時許可)ならすぐにシステムが輸入許可書を発行してくれるのですが、区分2(書類審査)、区分3(貨物検査)の場合には、税関に通関書類をスキャンして送ったり、貨物検査になると、貨物をコンテナヤードから一時引取して、検査場に持ち込む必要があります。
繁忙期には、検査場の予約が取れなかったり、ドレージやトラック業者の車手配もできなかったりします。
午前中に貨物検査が決定し、うまくいけば午後に検査することができますが、上記で紹介した様々な事情が介入してくると、検査が翌日の午後に回されることもあります。
区分1(即時許可)になれば、すぐ貨物を引き取れますが、輸入実績のない輸入者情報で申告をするとまず間違いなく区分3(貨物検査)になります。
「認定通関業者」に依頼をすると、区分1が出やすくなりますが、輸入実績次第では、普通に区分3がでます。
輸入が初めての場合や、新商品の場合には貨物検査があることを想定して予定を調整することが大切だと思います。
EMS(国際スピード郵便)の通関手続きに要する時間
ここからは、主に個人貨物を輸送する国際スピード郵便「EMS」の通関手続きに要する時間について紹介していきます。
「通関手続き中」の表示が長かったり、何回も表示してイライラする方もいらっしゃるでしょう。そんなEMS貨物の通関事情を丸裸にしていきます。
「通関手続き中」の表記が長い!
追跡サービスを利用して貨物の状況を確認すると「通関手続き中」の表記が長い場合があります。早ければ、数時間で終了になるのに、1日経っても通関が終わらないと気になってしますますよね。
EMS貨物は、国内に到着後「国際交換局」という場所に搬入されます。ここには、税関職員が常駐しており、通関手続きもここで行われます。
混雑していなければ、通関手続きは5時間程で終了し、「発送」表記になり順次配達されるのですが、繁忙期などは対応が遅れ翌日作業分に回されることもあります。
EMSと国際郵便小包は土日祝日も通関は進められていますが、普通郵便に関しては、土曜は午前中のみ、日曜祝日は完全にお休みになりますので注意が必要です。
「通関手続き中」が2回も表示されるのは何故?
追跡サービスを何度もチェックしていたら、「通関手続き中」が2回も表示されてびっくりする方も多いようです。
何故、何回も「通関手続き中」が表示されるかは、明確な理由は追跡サービス上では分かりません。しかし、大体以下の理由で何度も表示されます。
通関状況を確認する方法
通関手続きが現状どれくらい進んでいるのか把握したい場合は、国際交換局に電話をかけてみると良いでしょう。繁忙期の場合には、「現在、順次審査を行っていますのでお待ち下さい。」で突っ返されてしまうこともありますが、一度電話して確認する価値はあるでしょう。以下、国際交換局の電話番号です。貨物が搬入されているところに問い合わせてみましょう。
川崎東郵便局 :044-270-5780
中部国際郵便局:0569-38-1524
大阪国際郵便局:072-455-1850
新福岡郵便局 :092-663-6260
那覇中央郵便局:098-854-8292