今回の記事では、日本から韓国へ輸出する際の基礎知識を解説します。
韓国へ輸出するときの流れや、輸出に必要な書類、日本および韓国における輸出入規制についても詳しく説明します。
日本と韓国における貿易取引事情は、諸般の事情により日々変わり続けています。本記事の記載内容から変わっている可能性がありますのでご注意ください。(※適宜、更新して参ります。)
目次
韓国輸出の流れ
まずは、韓国へ輸出する流れを解説して行きます。大きな流れは、下記の5つの過程です。
2.契約の締結
3.運送業者による通関・積み込み
4.韓国での輸入通関
5.到着物品の確認と決済
それでは、各過程について詳しく説明します。
1.輸出入規制の確認
日本から発送する荷物が、日本での輸出規制対象に該当していないか、輸出にあたり許可や申請が必要な対象品目ではないかを確認します。
また、荷物が韓国の輸入規制対象に該当していないか、輸入にあたり許可や申請が必要な対象品目でないか確認しておきます。
他法令の許可を受けていなかったり、申請がされていない場合は、輸出入の許可が下りませんのでご注意ください。事前にフォワーダーなどに確認しておくと安心です。
2.契約の締結
輸出者と輸入者において各種取引の条件を合意し、契約を締結します。
契約書に記載する内容の一例は、下記のとおりです。
・価格、決済通貨と決済方法、決済の時期
・輸送に関する取り決め(輸送方法、梱包状態、納品の場所)
・補償、アフターサービス
国際輸送は、日本国内の輸送と異なり、長距離を移動することとなります。そのため、輸送中に商品が損傷した場合や、事故やトラブルに備えて責任分担を明確にしておくことが必要です。万が一に備え保険の付保を検討します。
3.運送業者による通関、積み込み
契約を締結したら、輸出者は運送業者等に輸送の手配を行います。
航空便の場合
航空便の場合は、通常、運送業者が集荷を行い、空港へ荷物を運び入れます。
空港で検量などを済ませたら、AirWayBillというラベルを荷物へ貼ります。
通関業者やフォワーダーが輸出申告を行い、税関より輸出の許可がおりたら飛行機へ積み込みます。
船便の場合
船便の場合は、通常、運送業者が空コンテナを輸出者の指定場所まで運び入れます。
輸出者はコンテナへ荷物を積み込み、運送業者が港へ運搬します。
輸出港では、通関業者やフォワーダーが輸出申告を行い、税関より輸出許可がおりたら船へ積み込みます。
4.韓国での輸入通関
韓国では、現地のフォワーダー等が輸入申告を行い、韓国税関が内容の検査や審査を行います。
輸入者が定められた関税等を納付した後、税関より輸入許可が降ります。
5.到着物品の確認と決済
輸入者は、送られてきた荷物が予め取り決めた契約条件通りとなっているか確認します。荷物に問題がなければ決済を行います。
このとき、トラブルがある場合には、輸出者や保険会社などと解決へ向け対応を行います。
このように、多くの過程を経て韓国まで荷物が届けられます。
韓国輸出の必要書類
次に、韓国へ輸出する際に必要となる書類を解説します。
今回は、
2.自社で通関作業を行う
2つの場合に分けて説明します。
1.通関業者に通関を依頼する場合に必要な書類
・インボイス
・パッキングリスト
・シッピングインストラクション
・委任状
・他法令による確認書類など
2.自社にて通関作業を行う場合に必要な書類
・輸出許可書
・インボイス
・パッキングリスト
・他法令による確認書類など
各書類について詳しく説明して行きます。
1.通関業者に通関を依頼する場合に必要な書類
まず、通関業者に依頼する場合の必要書類をご紹介します。
インボイス
インボイスは、「誰に何をいくらで販売したか」を説明する資料です。
貨物の品名、価格、数量、荷送人および荷受人の情報などが明記されており、税関は、このインボイスを基に輸出許可の判断を行います。
パッキングリスト
パッキングリストは「どのように荷物が梱包されているか」を説明する資料です。
荷物の個数、重量、荷姿、保険金額などが記載されています。
例えば「100個の荷物を輸出する」とインボイスに書かれていても、10個ずつ10ケースで輸出するのか、1個ずつ100ケースで輸出するのかは不明です。
パッキングリストで梱包状態を明確にし、インボイスを補完する役割を担います。
シッピングインストラクション
シッピングインストラクションは、輸出の指示書の役割を果たします。
荷送人および荷受人の情報や、荷物を積み込む船・港、予定日などが記載されています。
通関業者が船荷証券や航空運送状を作成するために必要な書類です。
通関業者への指示を明確にし、書類作成の間違いを防止することができます。
委任状
通関業者と初めて取引を行う場合は、委任状を提出します。
通関業務は、税関から許可を受けた者のみが業務を行うことができます。そのため、輸出者は通関業者に通関業務を委託します。それを書面で証明をするための資料が委任状となります。
他法令による確認書類など
物品によっては、各種法令により輸出が規制されていることがあります。
輸出者は予め法令に準拠し、輸出許可を受けていることを税関に証明する必要があります。
税関は、添付される許可証等を確認し、輸出許可の判断を行います。
2.自社により通関を行う場合に必要な書類
インボイスおよびパッキングリスト、他法令による確認書類などは先ほど記述したものと同じ内容です。
輸出申告書
輸出申告書は、読んで字のごとく輸出申告を行う書類そのものです。
税関は、輸出申告書、それに添付されるインボイス、パッキングリストなどの情報を基に輸出許可の判断を行います。
これらの他にも、必要な書類としては下記のものが挙げられます。
海上保険付保(保険証券)
貿易取引条件がCIFの場合、通常輸出者が海上保険を付保します。
輸出者は、海上保険を契約したら輸入者へ「裏書き」を行います。裏書きとは、輸入者へ保険金を請求できる権利を渡すことを言います。
そうすることで輸出者が契約した保険であっても、輸入者が保険金を請求することができます。
※航空便については、事故や荷物の破損が少ないので、保険付保することは稀です。
※保険証券は、輸出通関時には不要です。
日本-韓国間における輸出入規制
次に、日本と韓国における輸出入規制について詳しく解説をします。
日本からの輸出においては、外国為替及び外国貿易法という法規則により輸出が管理・規制されています。
韓国での輸入については「輸入禁制品」が定められています。
また、物品においては韓国現地で確認が必要となる物など、輸入規制が敷かれています。
詳しく見ていきましょう。
日本から韓国に輸出する際の規制
ここでは、日本から韓国へ輸出する際の規制について解説します。
日本からの輸出は、外国為替及び外国貿易法(外為法)により規制されています。
外為法では、兵器等の開発および製造等に転用される恐れのある物品の輸出や技術の提供を規制しています。
外為法で規制された貨物を輸出する場合や技術を提供するときは経済産業大臣の許可が必要となります。
■物品の輸出規制について
外為法では、輸出貿易管理令にて物品の輸出規制の大枠を定めています。管理令で規定された特定の地域に対し、特定種類の貨物を輸出するときは、経済産業大臣の許可が必要となります。
■技術の提供規制について
一方、技術の提供については外国為替令により規制の大枠を定めています。
為替令では、特定の技術を特定の外国において提供する場合、または、特定の技術を特定国の非居住者に提供するときに経済産業大臣の許可が必要と定めています。
実務においては、輸出する物品が外為法に定める「リスト規制」および「キャッチオール規制」に該当しないかの確認を行います。
■リスト規制
リスト規制では、一定以上のスペック、機能を持つ貨物・技術の15項目を規制しています。
具体的な物品は下記のとおりです。
規制項目 | 具体的な物品の例 |
---|---|
武器 | 鉄砲・鉄砲弾、爆発物・発射装置等、火薬、爆発物等 |
原子力 | 核燃料物質・核原料物質、原子炉用発電装置等 |
化学兵器 生物兵器 |
軍用化学製剤の原料等 |
ミサイル | ロケット、無人航空機、ロケット誘導装置等 |
先端材料 | フッ素化合物、チタン・アルミニウム合金成形工具、超電導材料等 |
材料加工 | ロボット、測定装置、歯車製造用工作機械等 |
エレクトロニクス | 集積回路、電子制御用半導体素子、高電圧コンデンサ等 |
電子計算機 | 電子計算機等 |
通信 | 伝送通信装置、電子交換装置、通信用光ファイバー等 |
センサー等 | 水中探知装置、妨害用水中音響装置、電子式のカメラ等 |
航法装置 | 加速度計、ジャイロスコープ、水中ソナー航法装置等 |
海洋関連 | 潜水艇、船舶の部品、水中照明装置、水中カメラ・ロボット等 |
推進装置 | ガスタービンエンジン、人工衛星、ロケット推進装置等 |
その他 | 粉末状の金属燃料、ディーゼルエンジン、自給式潜水用具等 |
機械品目 | 電波の吸収剤、デジタル伝送通信装置、宇宙光探知装置等 |
■キャッチオール規制
キャッチオール規制は、リスト規制に該当せず、一定の要件を満たす貨物・技術を規制しています。
複数の物品が規制対象となりますが、具体的な物品例は下記のとおりです。
※基本的に、食品や木材以外は対象となります。核兵器等に転用される懸念がない場合には、メーカーから該非判定書を取り寄せて輸出申告時に添付します。
リスト規制およびキャッチオール規制の該当可否については、物品により個別の判断が必要となります。
判断には、専門的な知識が必要となりますので、フォワーダーに相談することをおすすめします。
ホワイト国から除外された韓国への輸出の影響
今日、ニュースなどで報道されていましたが、2019年8月28日、日本政府は韓国をホワイト国から除外しました。
この日本政府の決定が、韓国輸出へ与える影響について解説します。
ホワイト国とは?
日本政府は、貿易相手国が整備する輸出管理の信頼度に応じて、A~Dにグループ分けをしています。
最も信頼度が高いのはAグループであり、ここに分類される国は、いわゆるホワイト国と呼ばれています。
日本政府は、貿易管理の脆弱性を理由に、韓国をAグループからBグループに格下げすることを決定しました。
Bグループでは、食品や木材を除く多くの品目で、軍用転用など安全保障上の問題があると経産大臣が判断した場合、輸出に際し個別の許可が必要となります。
日本政府が韓国への輸出管理を厳格化した品目は、フッ素化水素など半導体材料3品目、輸出案件ごとに全て許可が必要となりました。
輸出者にとっては、手続きが煩雑化し輸出までのリードタイムが増加すると考えられます。
韓国企業への影響
前述のように輸出までのリードタイムが長くなると、製造業などの場合、必要なときに必要分を調達することが困難となります。
その結果、生産工程や生産体制などへの影響が出ることが予想されます。
韓国での輸入規制
韓国での輸入規制について「輸入禁制品」と「現地において確認が必要とされる品目」について解説します。
輸入禁制品
下記に該当する物品は、輸入禁制品として韓国に輸入することはできません。
・政府の機密を漏洩したり諜報活動に使われる物品
・貨幣・債権その他の有価証券の偽造品、変造品または模倣品
現地において確認が必要とされる品目
下記の物品については、韓国において確認が必要となります。
品目 | 具体的な物品 | 確認先など |
---|---|---|
食品 | - | ・事前に商品の成分等の詳細を食品医薬品安全庁に届出 ・「輸入届出済証」の交付 ・植物検疫の対象品に該当する品目は、検疫を受ける |
動植物類 | 動植物、果物野菜類、農林産物など | ・輸入植物検疫証明証が必要 |
武器類 | 鉄砲、刀剣、火薬類など(模造・装飾用含む) | ・輸入の都度、銃器刀剣許可証が必要 ・品目及び輸入目的により異なる主管省庁への許可が必要な場合がある |
医薬品 | - | ・品目及び輸入目的により事前に食品安全庁長の許可または韓国医薬品輸出入協会長の標準通関予定報告書の承認が必要 |
廃棄物 | 廃棄物の国家間移動およびその処理に関する法律に該当する物品 | ・廃棄物輸入許可申込書、管轄領域・地方環境庁長の承認 |
有害化学物質 | 有害化学物質及びそれを保有する製品全般 | ・製造成分に従った有害化学物質確認書が必要 |
韓国輸出&輸入には関税はかかる?
ここでは、関税について解説をしていきます。
そもそも関税とは、政府が自国経済を保護するため、海外からの輸入品に対し課税することを言います。
例えば、国民が海外の安い製品ばかり購入すると、国産品が売れなくなり、国内産業が衰退する可能性が高まります。
そのため、海外からの安い製品に課税し、国産品との価格差を小さくしています。
通常、関税の納税者は輸入者となります。
安い輸入品を使って商売を行う人は、輸入者であるため、輸入者に対して課税するのは自然な流れです。
つまり、日本から韓国へ輸出する際、輸出者は日本政府へ対し関税を支払う必要はありませんが、韓国へ輸入するときに、輸入者が韓国政府に対し関税を支払います。
しかし、貿易取引条件により輸出者が関税を支払うと契約した場合は、例外的に輸出者が納税します。
韓国での課税は、世界税関機構(WCO)が定めた統計品目番号に基づく分類により税率が異なります。輸入物品の価格(CIF)または数量に対し課税されます。
韓国の輸入規制・具体例
日本から韓国に輸出するに際し「水産物」および「アルコール飲料」の輸入規制について具体的に解説していきます。
韓国における水産物の輸入規制
韓国は、日本からの水産物に対し輸入を規制しています。具体的な規制内容と、物品は下記のとおりです。
規制 | 具体的な物品 |
---|---|
輸入禁止 | ・福島県、宮城県、岩手県、青森県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県産の全ての水産物 |
放射性物質検査証明書の提出 | ・北海道、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、愛媛県、熊本県、鹿児島県産の水産物 ・北海道、青森県、岩手県、宮城県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、愛媛県、熊本県、鹿児島県産の養魚用飼料および魚粉 |
原産地証明書の提出 | ・上記16都道府県以外の水産物 |
日本産の食品は、韓国輸入時に、韓国政府が放射性物質検査を実施し、放射性物質が含まれていないことが確認されなければ輸入することができません。
韓国におけるアルコール飲料の輸入規制
韓国は、日本から輸入するアルコール飲料について、次のいずれかの証明書を添付することを義務付けています。
・2011年3月11日以前に製造・加工されたものであること
・宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、長野県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県以外において製造、産出されたものであること
・上記13都道府県で製造、産出されたものである場合、韓国政府が定める上限値を超える放射性ヨウ素131ならびに放射性セシウム134および137を含まないものであること
韓国の輸出はMIKANBAKO
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弊社は、2008年の設立依頼、法人個人問わず様々な輸送を手掛けてきました。現在ででは、年間5,000件以上の輸送実績を取り扱う企業にまで成長させて頂きました。
弊社は、航空便での韓国輸出案件を多数取り扱いしています。物量が多くなりますと、船便のほうが輸送量を安く抑えることが可能ですが、1~2日と最短で輸送されたい場合には航空便をおすすめします。
航空便・船便の料金についてですが、輸送する貨物内容や物量、時期などによっても料金が前後します。場合によっては航空便のほうが安くなるケースもあります。
具体的に、韓国へ輸出する料金を知りたい場合には、一度お気軽に弊社サービス「MIKANBAKO」までお問い合わせください。
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