貿易取引では、本当に商品を送ってくるのか?本当に支払いをしてくれるのか?という不安がありますよね。
この不安(リスク)を取り払うために、銀行が輸出者と輸入者の間に立って、支払いを確約させる書類を発行します。これが信用状(letter of credit:L/C)という書類です。
輸出者は、貨物を輸出しなければ銀行から売上金を受け取ることができませんし、輸入者も代金を支払わなければ、銀行から貨物引取書類を受け取ることはできません。
信用状には、主に4つの種類があります。当ページでは、信用状の種類について解説していきます。これから行う取引に応じて最適な信用状を選択しましょう。
目次
取消不能信用状(Irevocable L/C:イレボキャブルエルシー)
取消不能信用状は、一度開設されると、有効期間中は輸出者、輸入者、信用状発行銀行、確認銀行(確認信用状の場合)など、関係者全員の合意がない限り、取消や変更ができない信用状のことです。
信用状に「Irevocable L/C」と表示されるか、何も記載されていない信用状はこの種類に該当します。
確認信用状(Comfirmed L/C:コンファームドエルシー)
信用状の信頼度を上げるため、信用状発行銀行の他に、国際的に信用度の高い銀行の補償も受けている信用状のことです。
買取銀行指定信用状(Restricted L/C:リストリクテッドエルシー)
信用状の買取銀行が指定されている信用状のことです。逆に指定されていないものを、Open L/Cと言います。
回転信用状(Revolving L/C:リボルビングエルシー)
手形の決済を行うと、同金額の信用状が自動的に更新される信用状です。継続的に信用状決済を行う場合などに使用されます。
取り消し可能な信用状はある?
信用状発行銀行が、独断で取り消しや変更ができる信用状を「取消可能信用状」といいます。しかし、取消可能な信用状は、代金支払い補償の機能としてリスクがあることから、実際の取引では使用されることはありません。
また、信用状統一規則(UCP600)には、全ての信用状は「取消不能信用状」でなければならないと規定されています。
信用状のメリット
信用状取引には、輸出入者双方にメリットがあります。それぞれのメリットを見ていきましょう。
輸出者のメリット
1.代金未回収リスクの回避
2.資金負担リスクの回避
輸出者は、銀行から指定された書類を提出することで、売上支払いが補償されますので、安心して貨物を輸出することができます。
また、船積みをしたあとすぐに銀行から支払がされますので、代金回収が早くキャッシュフローが良くなることも大きなメリットの1つです。
輸入者のメリット
1.資金負担リスクの回避
2.商品受け取りリスクの回避
商品入手は銀行によって保証されていますので、貨物到着前に商品を国内で売却して、その売上で銀行への支払いに充てられるため、資金負担リスクを軽減することができます。
また、輸出者は契約通りの商品を輸出しなければ、代金を回収することはできないため、輸入者としては、商品を確実に受け取ることができるのです。
・取消不能信用状は、関係者全員の同意がなければ取消しや変更はできない
・現在流通しているL/Cは全て取消不能信用状
・取引が初めての相手の場合には信用状取引が安全
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