この記事では、オランダへ貨物を輸出する流れや必要書類、輸出入時の法規制など、国際物流全体の概要について触れていきます。
オランダへ貨物を輸出しようと思うと…
- 船便?航空便どちらが良いの?
- どんな書類が必要?
- 物流コストはいくらかかる?
など、沢山の疑問があると思います。
国内輸送ならば、トラック会社に輸送依頼をかけるだけですが、国際物流になれば国境を超えますから、通関手続きが必要になってきたり、国内外の法律によって貨物の輸送は規制されます。
すこし長めの記事になりますが、オランダ輸出の全体像が見えるように網羅的に解説しておりますので、是非最後まで気軽に目を通していってくださいね。
目次
オランダへの輸出手段と日数
オランダへの国際輸送の手段は、大きく分けて3つあります。
知らない人はいない「日本郵便」、クロネコヤマトや佐川急便などの「国際宅急便」、そして重量や形状問わず、どんな貨物でも国際輸送ができる「フォワーダー(貨物代理店)」に別れます。
それぞれの輸送日数と、取り扱ってくれる重量の制限範囲について表にまとめましたのでご覧ください。
日本郵便
日本郵便は、航空便の場合、最短2日〜2週間程度の輸送日数が必要になります。オランダまで船便で輸送すると2ヶ月前後かかりビジネスとしての輸送には不向きと言えます。
日本郵便においては、重量制限が30kgと規定されており、この重量以上の貨物は取り扱ってくれませんから、国際宅急便かフォワーダーを利用しましょう。
日本郵便には、複数の輸送サービスが用意されています。
今回は、30kgの小包を輸送依頼した場合の、輸送サービスごとの輸送日数・料金についてご紹介します。
基本的に、早く輸送できる路線については料金は高くなっています。
日本郵便の中でもっとも早い国際輸送サービス「EMS(国際スピード郵便)」を使ってオランダまで30kgの荷物を輸送すると、輸送日数は最短2日という驚異のスピードを誇りますが、料金は42,600円と圧倒的にコストは高くなります。
SAL便は飛行機チケットで言うエコノミークラスと似ていて、2週間ほどの輸送日数はかかりますが、コストはEMSの60%程に抑えることができます。
納期と予算と相談しながら最適な輸送サービスを選ぶことが重要です!
国際宅急便
国際宅急便とは、クロネコヤマトや佐川急便の国際版です。日本郵便では扱えない物や30kg〜50kgまでの荷物を国際輸送することができます。
ちなみに、クロネコヤマトさんに25kgの小包みをオランダまで輸送依頼した場合の料金は「30,450円」、輸送日数は「8〜10日」になります。
ちょうど、日本郵便の航空国際小包とSAL国際小包の中間に属する輸送サービスとも解釈できますよね。
国際輸送は、輸送日数と輸送コストはバランスが取れているとも言えますね。
50kg以上の重量物を輸送される場合、特に法人貨物についてはフォワーダーという貨物代理店が管轄になります。
フォワーダー
フォワーダーとは、貨物利用運送事業者のことで、簡単に言えば国際輸送の仲介をしている貨物代理店のことです。
なぜフォワーダー(代理店)が存在しているのかと言うと、航空会社や船会社は多数存在し、その中から素人の方が、最適なコストや輸送日数を実現できる輸送プランを練ることは難しく、手間もかかるため、多くのメーカーや商社はフォワーダーに国際輸送を仲介してもらっています。
また、代理店を通したほうが輸送スペースを安く購入できるというメリットもあります。
50kg以上の重量物や長尺物など様々な貨物の輸送が可能で、輸送日数や輸送コストも調整しながら最適な輸送プランを構築してくれます。
輸送日数については、最短で2日。コストについては利用する航空会社・船会社、時期、取り扱う物によって大きく前後するため、ここでは料金についてご案内することはできません。
オランダへの輸出入の流れについて
ここからは、日本から貨物を輸出して、オランダで貨物を輸入〜納品までの一連の流れについてご紹介しましょう。
30kg以下の軽量荷物については、国際郵便に輸送依頼をかければ完結ですが、商業貨物や30kg以上の荷物になると、自らが輸出者として責任を持つ必要があります。
とは言っても、実際の業務は、弊社のような貨物代理店が全て請け負いますから、気楽に読み進めていってくださいね。
1.フォワーダーに国際輸送を依頼
輸出する貨物と輸出先が決まったらフォワーダーに問い合わせて国際輸送を依頼します。
このとき、貨物の内容、数量、重量、容積が決まったら、フォワーダーに伝えましょう。希望納期や輸送コストの要望に合わせて最適な輸送ルートと見積もりを提示してくれます。
2.通関書類を作成
海外に貨物を輸出する場合には、国境を超えますから、税関に輸出申告して許可を得たのち、ようやく海外へ荷物を送り出すことができます。
この税関の手続きの際に必要になるのが「通関書類」です。輸出の際の通関書類には主に「インボイス(仕入書)」「パッキングリスト(梱包明細書)」が必要になります。
インボイスには、輸出入者名・契約条件・品名・数量・価格・原産地などが記載され、パッキングリストには、貨物の数量、重量、容積などが記載されます。
基本的には、輸出者様に作成していただく書類ですが、ご要望があれば弊社では通関書類の作成も代行しています。
3.貨物を梱包する
海外へ荷物を送る場合、船便か航空便かを利用すると思いますが、とくに船便を利用する場合には頑丈に梱包しておく必要があります。
航海中に、天候が悪くなり波が荒れると、コンテナ内は大きく揺れ貨物が破損することも多々あります。航空便でも大きく揺れることがあるため、輸出前の貨物は基本的に梱包業者が頑丈な梱包を施します。
強化ダンボールやバリア梱包、スチール梱包など、様々な梱包方法があります。弊社では提携先の梱包業者があるため、リーズナブルで梱包を代行することも可能です。
梱包の種類について詳しく知りたい方は以下記事も参考にしてくださいね。
4.保税地域に貨物を搬入
しっかり貨物が梱包されたら、次は保税地域という上屋に貨物を搬入します。
港にも空港にも保税地域は必ず存在し、外国から運ばれてきてまだ関税を払っていない貨物(外国貨物)を保管したり、これから輸出するしようとする貨物の荷捌きを行ったりしています。
輸出する貨物がコンテナ1本まるまるスペースを使う場合には、FCLと言って、1本のコンテナを1人の荷主が利用します。対して、荷物がコンテナ1本に満たない場合は、LCLと言って、複数の荷主で1つのコンテナのスペースを分け合う形で積み込まれます。
5.輸出通関手続き
保税地域に貨物が搬入されたら、いよいよ税関に対して輸出申告をかけます。
通関手続きは、専門的な知識と経験が必要であるため、通関業者に依頼することが一般的となっています。弊社にも提携している通関業者がおり、数千円程の手数料で迅速に輸出通関手続きを行ってくれます。
輸出通関手続きは、税関に「こういう貨物をオランダに送るよ〜」と申告をすることですが、付随して輸出貿易管理令やその他の法律の許可申請も通関業者が行ってくれます。
ここでは詳細は割愛しますが、日本から貨物を輸出したり、逆に海外から貨物を輸入する場合、様々な法律をクリアしなければいけないんですね。
「俺は自分でやる!」などと言って、一から法律を学び手続きをしようとすれば、輸出する前に年が明けてしまうでしょう。笑
さて、無事税関から輸出の許可を受けたら、貨物は「外国貨物」としての性質を持ち、海外へ輸出できるようになります。
6.貨物搭載・輸出
輸出許可を受けた貨物は、順次、航空機(船)に搭載されオランダに向け出発します。また、航空会社や船会社に荷物を預けると同時に預り証としての証明書が発行されます。
航空便の場合には「Air Waybill(エアーウェイビル)」、船便の場合は「Bill of Lading(B/L:ビーエル)※」が発行されます。この時点で、日本側での輸出手続きが完了となります。
オランダ側で輸入通関手続きをし、貨物を受け取るために必要となる、Air WaybillもしくはB/Lを輸入者に送りましょう。
7.オランダ到着(保税地域搬入)
無事オランダに到着した貨物は、空港(港)の保税地域に搬入されます。
オランダから見れば、日本から送った貨物は外国貨物に当たるため、危険なものではないか?輸入制限がかかっているものではないか?などをオランダ税関でチェックをし、関税が払われて問題がなければ輸入許可を出します。
貨物が到着したらすぐに受け取りたいでしょうが、必要な手続きと納税を終えたあとにオランダ国内に引き取ることができるんですね。
8.輸入(納税)申告
保税地域に貨物が搬入されたら、現地税関に対して輸入(納税)申告を行います。
このとき、日本側で作成したインボイス(仕入書)、パッキングリスト(梱包明細書)、Air WaybillもしくはB/L、保険を掛けていたら保険明細が必要になります。
オランダ側で迅速に輸入申告ができるように、事前にこれらの書類は輸入者に送っておくことが重要です。
※弊社では、オランダ現地に通関業者のパートナーがいるため、よりスムーズな通関手続きが可能です。
9.オランダ国内に引き取り〜納入
現地税関から輸入許可を受けた貨物は、オランダ国内に引き取れるようになります。
納入先までのトラックや鉄道などの手配は、基本的に、現地通関業者が代行してくれますので安心してください。
これまで、基本的な国際物流の流れを解説してきました。実際の実務はもっと複雑にはなりますが、フォワーダーを利用して輸出される場合には、大まかな流れを知っておくだけで問題ありません。
オランダへの輸出の際の必要書類
全体の流れで必要書類について簡単に触れましたが、ここでは輸出の際に必須となる書類一式をより詳しく紹介していきます。
INVOICE(インボイス/仕入書/商業送り状)
インボイスは、輸出者が作成するもので、輸入者との取引明細、通関書類として、様々な役割を果たします。
記載される主な内容は以下の通りです↓
インボイスには、どんな物を、何個、いくら分輸出するのか記載します。また、誰から誰に売るのかなど、契約内容を反映した明細を作るイメージを持つと良いでしょう。
日本の税関はインボイスをチェックし、貿易統計を取るとともに、「輸出してはいけない物ではないか?」「虚偽の記載はないか?」「輸出金額は妥当か?」など、関税法に基づき厳正な審査を行います。
オランダに貨物が到着したあとも、現地の税関で同じインボイスを提出して「輸入通関手続き」が行われます。
Packing list(パッキングリスト/梱包明細書)
パッキングリストは名前の通り、梱包明細書の役割を果たしています。貨物の個数、重量はもちろんのこと、荷姿など、より細かい貨物の状態が記載されます。
例えば、1カートンには12ピース入っているなど、物量が細かく把握できるように明記することが求められます。
パッキングリストは意外にも、通関時の必須書類として規定されていませんが、実際の通関のときにはパッキングはないの?と税関職員に求められますので、必ず作成しておきましょう。
パッキングリストを提出しないと貨物の状態が把握できないため、貨物検査になる可能性が高く、通常よりも通関手続きが長引いてしまいますし、費用もかさみます。
Shipping Instructions(シッピングインストラクション/船積依頼書)
これは船積指図書(ふなづみさしずしょ)とも言われ、荷主(輸出者)がフォワーダーに輸送依頼をするときに渡す書類になります。
この書類をもとに、航空運送状(Air Waybill: AWB)や船荷証券(Bill of Lading: B/L)が作成されますので間違いのないように作成しましょう。
船積指図書は、決まった雛形はありませんが、ある程度の様式は決まっていますので、依頼先のフォワーダーに確認してみましょう。
委任状
ここでの委任状とは輸送依頼をする御社が、通関手続きを代理する通関業者に提出する書類になります。
通関業は、依頼主から初回のみ委任状を受け取る必要があるため、はじめて依頼する場合には、「御社(通関業者)に通関はお任せしますよ〜」という内容の委任状を作成する必要があります。(こちらもフォワーダーや提携先の通関業者が雛形を持ってますので安心してください。)
基本的に、上記4つの書類が必要になりますが、場合によっては輸出貿易管理令に関する「該非判定書」などの追加書類が必要になるケースもあります。
イレギュラーな場合は、フォワーダーが丁寧にアドバイスをくれたり、代行してくれますので安心してくださいね。
日本とオランダ間における輸出入規制
輸出入の流れと必要書類を大まかに把握して頂けたかと思いますので、最後に、輸出を規制する法律について簡単に触れておきましょう。
日本からオランダに輸出する際の規制
日本からオランダに輸出をする際はまず、日本側で施行されている様々な法律をクリアしなければいけません。
関税法上は輸出が可能な物品でも、他法令で規制されている場合があるということになります。
例えば輸出時には、以下の法律に抵触する可能性があります。
外国為替及び外国貿易法/輸出貿易管理令/文化税保護法/鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律/麻薬及び向精神薬取締法/大麻取締法/あへん法/覚せい剤取締法/狂犬病予防法/植物防疫法/道路運送車両法etc
こうして法律一覧を見ると、なんか難しそう…と心配になりますが、基本的に、他法令に抵触するか否かの確認や、他法令の許可承認の申請は通関業者やフォワーダーが行いますので安心して下さい。
この記事では、輸出時に深く関係してくる「輸出貿易管理令」について触れておきます。
「輸出貿易管理令」は端的に言えば、核兵器や武器などの危険な物や、これらに転用される可能性のある貨物の輸出を規制している法律です。
例えば、万が一核爆弾などに転用できる化学物質をうっかり輸出してしまい、テロリストの手に渡った場合、世界の平和を脅かされる可能性があります。(国の面子も丸つぶれになってしまいますから。汗)
ですので、日本においての輸出時には、どこの国や企業に輸出するの?何を輸出するの?という点が重要視されるんですね。
輸出貿易管理令は、「リスト規制」と「キャッチオール規制」に二分され、これらの条文の中に、規制品目が明記されています。
結論から言えば、「食品」と「木材」以外は、輸出貿易管理令に抵触する可能性があります。
ですので、とくに機械類や化学物質品を輸出する際には、
税関から「これ、輸出貿易管理令に抵触しない?該非判定書提出して下さいね。」と言われます。
「該非判定書」は、輸出する貨物が、規制品目が規定されている1項~16項に該当しないことを証明する書類です。
こちらは、製品を製造しているメーカーから取り寄せる必要があります。
税関から求められた場合には、荷主様からメーカー様に問い合わせしていただき、該非判定書を取り寄せていただく必要があります。
万が一、1項~16項に該当する製品であった場合、規制対象となり、経済産業大臣の輸出の許可を受けなければ輸出することはできませんのでご注意下さい。
オランダでの輸入規制
無事日本から輸出できたからと言って、まだ安心してはいけません。オランダ側で輸入を規制している品目に該当していないか、輸出前に確認しておく必要があります。
オランダでは、大麻やアヘンなどの化学品、著作権を侵害する物品、絶滅の恐れのある野生動物やその産品などについては輸入が禁止されています。代表的な輸入規制品目は以下の通りです。
化学品
大麻、麻薬、向精神薬、アヘン、覚醒剤、これらの吸引具、日本で認可されていない薬など
危険物
銃、銃の部品、鉄砲弾、刀剣類、火薬類などの爆発物、花火、ライター、マッチ、リチウム電池なども危険品として輸入既製品として規定されています。
貴重品
現金、クレジットカード、有価証券、骨董品、貴金属、宝石類など
公安・風俗を害する物品
ポルノ、児童ポルノなどの書籍、絵、彫刻物等、いわるゆ性的なものは輸入規制があります。
著作物
著作権、特許権、商標権、実用新案権、意匠権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品。この中には、偽ブランド品も含まれますので注意が必要です。
食品類
肉、野菜、果物、漢方薬、フォワグラ、砂糖、塩、バターなどが現在輸入規制の対象となっています。
ワシントン条約該当品
絶滅の恐れのある動物や植物、その産品については輸入規制が掛けられています。
船舶
船については、サイズに関わらず、個人の引越荷物として持ち込みは禁止されています。(カヌーやカヤックなども規制されています)
これらの規制物品に該当している場合には、オランダの「経済・気候政策省(Ministry of Economic Affairs and Climate Policy)」 や「財務省(Ministry of Finance)」に輸入許可申請などの対応が必要になります。
基本的にフォワーダーが代行いたしますので、荷主様は現地とのやり取りをすることはありません。
最後に
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
オランダに輸出する際の、手段・日数・手続き・法律などを簡単にご紹介してきましたが、輸送コストについては、貨物の内容や物量で大きく変動します。
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