ドレージ輸送は、トレーラーを使ったコンテナをまるごと運べる輸送方法のことを言います。
港付近でよく見かけるこれです。
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主に、輸出入に関わる国際物流で活躍する輸送方法ですが、この記事では「ドレージ輸送の基礎知識」「料金について」「メリット・デメリット」について解説してまいります。
目次から、気になるところをご覧頂ければと思います。
目次
ドレージとは?
ドレージとは、コンテナをまるごと輸送する手段です。
輸入の場合、海外から運ばれてきたコンテナを、港から納入先までダイレクトに輸送することができます。
輸出の場合、コンテナに貨物がバンニング(※1)されたあと、倉庫からCY(コンテナヤード)へ輸送する手段として活躍します。
※1:バンニングとは、コンテナに貨物を積み込むこと。デバンニングはコンテナから貨物を引き出すことです。
ドレージがあるから国際物流が効率的に行われますので、物流には欠かすことのできない輸送手段と言えますよね。
ショートドレージとは
ショートドレージとは、CY(コンテナヤード)から港湾地区の倉庫までの短い距離を輸送することを指します。
CYから納入先までダイレクトに輸送できることがドレージのメリットではありますが、港湾地区の倉庫でデバンニングして、貨物を仕分けし、分納するケースもあるかと思います。
輸送距離は非常に短いため、2~3万円程度で対応してくれるドレージ業者が多くなっています。
ドレージで輸送できるコンテナ種類
コンテナを輸送できるドレージですが、どんなコンテナを輸送できるのか、メインとなるコンテナの種類をご紹介しましょう!
ドライコンテナ
via:https://www.suzuyojidousha.co.jp/archive/useful/159/
世界的に最も利用されている一般貨物を輸送することに適した、常温輸送できるコンテナです。
雨風をしのげる密閉された構造になっていて使い勝手は抜群ですが、集中荷重には強くないため重量物を輸送するときは注意が必要です。
リーファーコンテナ
via:https://www.1185.co.jp/source/information-reefer-container/
リーファーコンテナには、冷凍機が付いているため、内部の温度をー25度〜+25度の範囲で温度調節することができます。
コンテナ内部には断熱材が利用されているため、効果的に温度や湿度を一定に保つことができます。
肉や魚、野菜果物など、輸送時に温度調節が必要な貨物には必ずリーファーコンテナが利用されます。
オープントップコンテナ
via:https://ocean-system.co.jp/opentop
名前の通り天井面が無く、コンテナの高さよりもサイズが大きい物を積載することができるコンテナです。
コンテナ上部からの荷役もできるため、貨物を細かく分解することなく積載することが可能。
コンテナ内部には、貨物を頑丈に固定するためのラッシングリングが取り付けられています。
フラットラックコンテナ
via:https://www.container-ichiba.jp/post_standard/container-174/
フラットラックコンテナは、見ての通り側面と天井のないコンテナです。左右、上部からの荷役が可能で、重機などの大型貨物を搭載することができます。
しかし、船舶や航空機に搭載する際は、左右・上部に別のコンテナを積むことができずスペースを多く取ることから、割増運賃が必要になります。
タンクコンテナ
via:https://www.suzuyojidousha.co.jp/archive/useful/159/
タンクコンテナは、液体物を輸送するための特殊コンテナです。最大26KLまでの搭載が可能で、大量の液体物を一度に輸送することができます。
醤油や原酒、液体化学品など様々な液体貨物を輸送することができます。
コンテナごと税関検査になったどうなるの?
CY通関を行ない、区分3(税関検査)扱いになった場合、税関が指定する大型X線検査場にコンテナを持ち込み検索を受けることになります。
その場合、CY(コンテナヤード)から港湾地区の大型X線検査場までのドレージを手配する必要があります。
通常ドレージ会社は、CYから納入先までの輸送を請け負いますが、検査になった場合、CY→大型X線検査場→納入先の順に輸送してくれます。
大型X線検査が終わり、すぐに税関から輸入許可が下りれば良いですが、場合によってはコンテナを開けて検査する「開披検査」に発展することもあります。
基本的に、2時間以内に検査が終われば問題ありませんが、2時間を超える場合には、ドレージの運転手さんを長時間待たせることになりますので、30分5,000円程度の待機料が発生しますので念頭に入れておきましょう。
ドレージ料金はラウンドで計算
ドレージ料金ってどうやって決まってるの?と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
ドレージ料金は、ラウンドで計算されます。つまり、往復費用で料金が決定します。例えば、東京から静岡まで100kmの輸送を依頼すると、往復200kmの輸送として計算されます。
輸送料は、ドレージ会社によってまちまちです。東京〜北関東方面で5万円〜7万円。東京〜静岡方面で6万円〜12万円など、納入先までの距離や、ドレージ会社の得意な輸送ルートであるかなどによって、料金は変わってくるので確認する必要があります。
また、コンテナ総重量が20トンを超える場合には、コンテナを積載するシャーシと呼ばれる部分にタイヤが+2つ付いた3軸シャーシの利用が必要になるため、料金が+5,000円程度かかります。
ドレージ料金は人手やドレージ不足で年々高騰しているため、実際の料金はフォワーダーに確認してみましょう。
ドレージのキャンセル料はいくら?
通関手続きが予定通り終わらなかったり、納入先が変更になったりなど、やむを得ずドレージを一旦キャンセルすることも出てくるでしょう。
そのときに心配なのが、キャンセル料です。
ドレージ会社も、輸送日当日に「やっぱり無しで!」なんてわがままを聞き入れていたら商売あがったりですよね。
なので、ドレージをキャンセルする場合、輸送日までの日数でキャンセル料率が変わってきます。ドレージ会社によってキャンセル料が発生する日や料率は様々ですが、ここでは一般的な料率をご紹介します。
当日キャンセル:100%
前日キャンセル:80~100%
2日前キャンセル:0%~80%
3日前キャンセル:0%
当然ですが、当日キャンセルの場合は100%のキャンセル料が発生します。前日の場合は、100%のところが多いですが、80%まで下げてくれるドレージ会社もいます。完全にキャンセルではなく、同じ輸送日で別ルートの案件にスライドする場合にはキャンセル料はかかりません。
3日前のキャンセルであれば、ドレージ会社も別のクライアントに空きが出た旨を伝え、依頼を受ける猶予が出るためキャンセル料がかからないことが多いです。
ドレージリカバリーチャージ
昨今、ドレージの人出不足でなかなか輸送を請け負ってもらえない状況となっています。
ネット通販などの影響により、物流が大幅に増えてはいますが、それを輸送する人手が足りないのです。
そのため、ドレージ会社の負担をカバーするため、各ドレージ会社では「ドレージリカバリーチャージ(Drayage Recovery Surcharge)」が追加料金として発生しています。
1R/T(Revenue Ton)あたり、500円〜1,000円程度かかりますが、避けることのできない料金となります。
ドレージ輸送のメリット
ここからは、ドレージ輸送のメリットについて紐解いていきます。
物流コストを下げる
小口貨物(CFS貨物)の場合、コンテナを一度上屋に移動させ、デバンニングしたあと、荷主ごとに貨物を仕分けします。その後、各納入先の輸送のため、トラック業者が引き取りに来る流れとなります。
しかし、コンテナごと輸送することで、上屋での荷捌きにかかるコストが省かれますので、物流コストを下げる事ができます。
※注意:納入先である荷主の倉庫でデバンニングすると思いますが、2時間以内にデバンニングが終わらない場合、ドレージ会社から待機料として30分ごとに5,000円程度請求されますので、デバン作業が迅速にできるよう人手はしっかり用意しておきましょう。
納入までの時間を短縮
上屋を経由することなく、CYから直接コンテナを引き取ることができますので、納入までの時間が大幅に短縮されます。CFS貨物の場合は、デバンニングに2~3日かかりますが、この待ち時間がなくなり、早く国内に引き取ることができます。
【コラム:デバンニングの際に貨物が破損していた場合】
荷主倉庫にコンテナが到着後、すぐにデバンニング作業が開始されると思いますが、万が一貨物が破損していた場合には、保険会社から補償を受けることができます。(もちろん保険を掛けている場合のみです)
補償を受けるには、貨物の破損を確認したらすぐに写真を撮影し、保険会社に写真を送ることで補償金を受け取ることができます。(厳密には、船会社もしくは航空会社が発行した貨物のダメージを認めた書面などが必要です。適宜フォワーダーに確認してくださいね。)
貨物にダメージが付きにくい
そもそも荷主が1社だけの貨物で満たされているFCLの場合は、貨物にダメージが付きにくいメリットがあります。
複数の荷主で1つのコンテナを共有するCFS貨物の場合には、上屋で貨物をデバンニングする必要がありますし、色々な貨物が一緒に積載されますので、ぶつかり合うなどでダメージが付きやすいんですね。
1社の荷主であれば、コンテナ内の積付けをしやすいですし、デバン作業も荷主倉庫で行うため、傷が付くリスクを抑えることができます。
ドレージ輸送のデメリット
メリットしか見えないドレージ輸送ですが、デメリットも存在します。
物量が少ないと割高になる
FCL貨物にするか、CFS貨物にするかの境目は、一般的に7立方メートルと言われています。
コンテナ1つを貸し切りたい!と思い、7立方メートル以下の貨物をFCLにすると、使い切れないスペース(デッドスペース)ができてしまうため、結果割高になります。
7立方メートル以下の場合は、CFS貨物として取り扱いしましょう。
輸送料がかかる
これはデメリットなのか迷いましたが、ドレージ輸送には輸送量がもちろんかかります。大きな鉄箱を運ぶわけですから、輸送料は小口貨物よりも高くなるのは言うまでもありません。
スピーディーな納入と貨物を安全に輸送する代償として必須のコストになります。
最後に
昨今、ドレージ輸送業界は人出不足で、長くお付き合いしているドレージ業者さんでも、輸送を引き受けられないほどの状況になっています。
ドレージ手配は、スポットでも依頼することはできますが、スポットで依頼すると、かなり割高な料金を提示されることもありますし、最近ではスポット自体を受けない業者も増えてきました。
弊社、国際輸送サービスMIKANBAKOでは、協力関係にあるドレージ業者に手配をかけることが可能です。
輸出・輸入に付随して必要となるドレージの手配についてはお気軽に弊社「株式会社みかん箱」までお問い合わせください。
→ 国際輸送サービスのMIKANBAKO | ドレージ手配や輸出入手続き代行ならお気軽にご相談ください。
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