今回は、台湾への輸出方法について解説します。
台湾への輸出の流れや関税の支払い、日本国内における輸出規制、台湾における輸入規制など、台湾輸出をされる方が知っておくべき必須知識をまとめましたので最後までご覧ください。
目次
台湾輸出の流れ
まずは、台湾へ輸出する際の大きな流れを見ていきましょう。
輸出するには、大きく6つの工程を経ます。
2.貿易条件と契約の締結
3.輸送手配
4.日本における荷物の発送と通関手続き
5.台湾における通関手続きと国内輸送
6.荷物の確認と代金決済
各項目の詳細について解説していきます。
1.荷物の選定と輸出入規制の確認
まず、台湾へ輸出する荷物が、日本の輸出規制に該当するか否か、台湾での輸入許可申請の対象品か否か、法定検査が必要か否か、最新の情報を入手し、予め確認しておく必要があります。
台湾での輸入に際し、各種証明書等の提出が義務づけられている場合には、準備をしておく必要があります。送る荷物によりどのような手続きが必要か確認をしましょう。
2.貿易条件と契約の締結
荷物を送るにあたり、相手先と輸送に関する条件や決済通貨など取引条件を決める必要があります。
例えば、商品の価格、決済する通貨と決済の方法、納品時期と品質、数量、輸送方法、梱包方法、荷物到着後のアフターサービス、トラブル発生時の対応などを契約書に落とし込みます。
日本国内の輸送と異なり、台湾までは長い距離を輸送するため、商品が壊れたり失われたときを想定し、保険の付保などをも検討しておきます。
3.輸送手配
相手先と契約を締結したら、台湾への輸送手段を検討します。
運賃は、荷物の重さやサイズ、個数により事業者ごとに大きく異なるため十分に比較検討をする必要があります。スピードを求めるなら航空便、安さを求めるなら船便を選ぶことが一般的です。
どの輸送方法が最適か確認したい場合は、フォワーダーなどに見積もり依頼を出すと良いでしょう。
4.日本における荷物の発送と通関手続き
日本から台湾へ荷物を配送する方法は、主に航空便と船便に大別されます。それぞれについて解説していきます。
航空便の場合
通常、航空便の場合は、運送業者が集荷を行い荷物を空港まで運び入れます。
空港にて荷物の検量などを済ませた後、Air WayBillというラベルを張りつけ保税地域へ搬入します。
輸出申告内容に問題がなければ、飛行機に積み込まれ台湾へ向け飛び立ちます。
船便の場合
船便の場合、通常は運送業者が空コンテナを指定場所まで搬入し、荷主は、空コンテナに荷物を積み込みます。
その後、コンテナは出港地のコンテナヤードに運び入れられ、輸出申告を行い、申告内容に問題がなれば船に積み込み台湾へ向け出港します。
※契約条件や運送業者のサービス内容により運送方法が異なる場合があります。詳細はフォワーダーへ確認しましょう。
5.台湾における通関手続きと国内輸送
台湾では、輸入通関が行われます。通関が終わった荷物は、運送業者により相手先へ届けられます。
6.荷物の確認と代金決済
荷物が到着したら、内容の確認を行います。貿易条件通りの数量が梱包されているかや、破損や品質に問題がないかなど確認を行います。
万が一、輸送中に商品が破損したなど荷物にトラブルがあった場合は、相手先や保険会社などと一緒に対応を行います。
無事納品となれば、予め取り決めた条件により代金決済を行います。ここまでが一般的な国際輸送の主な流れとなります。
このように、多くの過程を経て台湾へ荷物が輸送されます。
日本国内の輸送とは異なり、台湾への輸送は長い距離を辿るため、トラブルが起こった場合の対応方法や、万が一の場合に備え保険の付保を検討しておく必要があります。
また、輸送費用は、事業者により大きく異なります。荷物の重さやサイズ、輸送スピードを考慮し最適な事業者を比較検討することをおすすめします。
日本における輸出規制、台湾港における輸入規制について深い知識がない場合には、アドバイスをしてくれるフォワーダーを選ぶことも重要です。
台湾輸出の必要書類
次に、台湾へ輸出する際に必要になる主な書類を紹介します。
1.インボイス(仕入書)
インボイスは税関が輸出許可を判断するために必要な資料です。インボイスに記載される内容は、荷物の品名、数量、価格、支払方法、送り主および受取人の住所、氏名または名称等定められた要件を満たす必要があります。
2.パッキングリスト(梱包明細書)
パッキングリストは、荷物の個数、重量、容積が記載された書類で、インボイスの補助資料として準備をします。
税関から提出を求められたり、混載荷物の場合には運送業者から提出を求められることもあるため、インボイスとともに準備をしていくことをおすすめします。
3.シッピングインストラクション(船積依頼書)
シッピングインストラクションは、通関業者が船荷証券(Bill of Lading)又は、航空運送状(Air Way Bill)を作成するために必要な書類です。
運送業者への明確な指示を行うためにも準備することをおすすめします。
4.委任状
通関業者と初めて取引を行うときは委任状を提出します。
※上記の書類は代表的なものであり、荷物の種類や事業者により提出する書類が異なる場合があります。詳しくは運送業者にご確認下さい。
日本-台湾間における輸出入規制
次に、台湾へ輸出する際の法規制について解説します。
「リスト規制」「キャッチオール規制」「輸出禁制品」の3つに該当する場合は注意が必要です。
日本から台湾に輸出する際の規制
1.リスト規制
リスト規制とは、輸出する物品が、武器や大量破壊兵器等の開発などに転用される恐れの高い15品目を規制しています。
荷物が規定された仕様に該当する場合は、必ず経済産業大臣の輸出の許可を得る必要があります。
規制項目 | 具体的な物品の例 |
---|---|
武器 | 鉄砲・鉄砲弾、爆発物・発射装置等、火薬、爆発物等 |
原子力 | 核燃料物質・核原料物質、原子炉用発電装置等 |
化学兵器 生物兵器 |
軍用化学製剤の原料等 |
ミサイル | ロケット、無人航空機、ロケット誘導装置等 |
先端材料 | フッ素化合物、チタン・アルミニウム合金成形工具、超電導材料等 |
材料加工 | ロボット、測定装置、歯車製造用工作機械等 |
エレクトロニクス | 集積回路、電子制御用半導体素子、高電圧コンデンサ等 |
電子計算機 | 電子計算機等 |
通信 | 伝送通信装置、電子交換装置、通信用光ファイバー等 |
センサー等 | 水中探知装置、妨害用水中音響装置、電子式のカメラ等 |
航法装置 | 加速度計、ジャイロスコープ、水中ソナー航法装置等 |
海洋関連 | 潜水艇、船舶の部品、水中照明装置、水中カメラ・ロボット等 |
推進装置 | ガスタービンエンジン、人工衛星、ロケット推進装置等 |
その他 | 粉末状の金属燃料、ディーゼルエンジン、自給式潜水用具等 |
機械品目 | 電波の吸収剤、デジタル伝送通信装置、宇宙光探知装置等 |
2.キャッチオール規制
キャッチオール規制とは、リスト規制該当品外であっても、武器や大量破壊兵器等の開発等に転用される恐れのある物品を規制し、輸出に際し経済産業大臣の許可を必要としています。
キャッチオール規制の該当物品の一例は下記のとおりです。
炭素繊維、チタン合金、周波数変換器、大型の真空ポンプ、ジャイロスコープ、クレーン、大型トラック、遠心分離機など。
※ただし、キャッチオール規制該当品であっても輸出許可が不要な場合もあります。
3.輸出禁制品
輸出禁制品に挙げられる下記の物品は輸出することができません。
・銃器、銃弾、爆薬、毒薬、毒ガスとその他兵器(部品、付属品を含む)
・共産主義を宣伝するあるいは、その他国策へ違反する書籍、図画、写真、文書など
・偽造または変造貨幣、有価証券、切手、収入印紙など
・毒品危害防制条例に挙げられる薬物およびその製剤、ケシの種、コカの種、大麻の種
・稲、米紛、落花生、茶葉、種(中国大陸を原産地とし輸入管理規定の輸入規制緩和対象外の品目)
・宝くじ
台湾での輸入規制
次に、台湾での輸入規制品を見ていきましょう。
下記の物品は台湾へ輸入するにあたり、各種手続きが必要となる場合があります。
必要な書類を用意せず、手続きが行われない場合、台湾税関にて差し止めや没収、破棄、返送となる可能性がありますのでご注意ください。
項目 | 対象品目 |
---|---|
穀物類 | もみ、玄米、もち米、精米、でんぷん粉、フレーク状その他加工された穀物類の製品、穀物類調整食品(コーンフレークなど米を使用している加工品でその米の重量が30%以上のもの) ※日本から海外へ米を輸出する際には、農林水産省に輸出数量の届け出を行う必要があります。 |
肉・肉製品 | 牛肉、豚肉、鳥肉、食肉加工品など |
食品添加物 | グルタミン酸ソーダ、酸性食用染料、合成有機食用顔料など |
酒・タバコ | 一般料理酒、料理、米酒、ビール、シャンパン、発泡酒、ワイン、穀物類酒、果実酒、蜂蜜酒、醸造飲料、ブドウのブランデー、ラム酒、ウイスキー等 タバコの葉を含んだ各種葉巻、巻きタバコ、タバコ葉の代用品を含んだものを含む |
動物 | 馬、牛、ヤギ、鹿、ダチョウ、飼養の鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥、ホロホロチョウなど |
植物 | 種、飼料になるトウモロコシ、テンサイの種子、アルファルファの種、ウマゴヤシの種、野菜などの栽培用の種子、果実と胞子 |
化粧品 | 薬用フェイスクリーム、薬用洗顔クリーム、薬用乳液、化粧品、パーマ剤、毛染め剤、デオドランド剤、薬用せっけん |
医薬品 | 人体用薬品、医薬品全般、中医薬用を含めたもの(乾燥海馬、虎骨、熊骨、亀甲、亀甲、亀板、麻子仁、朝鮮人参)、コカの葉、ケシなど |
機械 | 電機電子製品(デジタルカメラ、ビデオカメラ、家電製品、その他電子電機機器)、エアコンなどの空調機器 |
衣料品 繊維製品 |
下着、子供服、寝具など人の体と直接接触する可能性のあるもの |
台湾輸出&輸入には関税はかかる?
台湾へ輸入をする際には、関税がかかります。関税は、台湾国内の産業を保護することを目的に設けられており、物品により関税率が変動します。
関税に加えて、下記の物品には貨物税という税金がかかります。
・車両、ゴムタイヤ、飲料品、フラットガラス、電気製品、セメント、ガソリン、ガス
※課税価格が2,000NTD(台湾ドル)以内であれば、一部の物品を除き関税、貨物税が免除されます。
台湾の輸入規制・具体例
台湾の輸入規制について、具体的な事例を解説していきます。
台湾へ機械を輸入するときは、検査が必要となる場合があります。
この検査は、複数の方法があり、輸入者などが機械を輸入する度に、台湾の経済部標準検査局に都度申請する方式(Batch-by-Batch方式)や、公的機関や第三者機関による技術書類を当局へ提出し、製品が定められた技術基準に適合していることを証明する方式(RPC方式)などがあります。
課税価格が1,000米ドル以下の場合や、5台未満の展示用や研修開発テスト用の製品、
一部の建設機械等は検査が免除となります。
台湾における農産物の輸入規制
台湾へ農産物を輸入する際には、いくつか規制がかけられています。
福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の農産物や加工食品は、輸入停止となっています。
また、上記5県以外の42都道府県の農作物や加工食品に対しても、産地証明書の添付が義務付けられています。
また、下記の品目は、放射性物質検査報告書の添付が義務付けられています。
・岩手県、茨城県、東京都、愛媛県の水産品
・東京都、静岡県、愛知県、大阪府の茶類産品
・宮城県、埼玉県、東京都の乳製品、キャンディー、乳幼児食品、ビスケット、穀物類調整品等
台湾へ個人輸出するには?
通常、台湾への輸入に際しては関税がかかりますが、個人輸出する場合など、少額輸入貨物は関税が免除されます。その免税の範囲は、2,000台湾ドル以下となっています。
ただし、2,000台湾ドル以下であってもアルコール、タバコ、関税割り当て対象の農産品は免税を受けることができません。
また、日本の同一住所より送付され台湾の同一住所に、30日以内に2回以上送付された場合、あるいは6か月以内に6回以上送付された場合には、関税が免除されませんのでご注意ください。
台湾輸出業者はMIKANBAKO!
MIKANBAKOは、株式会社みかん箱が提供している国際輸送サービスです。
弊社は、2008年に創業し、これまで10年以上に渡り個人法人問わずお客様に支持され、現在では年間5,000件以上の国際輸送サービスを手がけてております。
法人のお客様は「海外顧客への輸送」「社内間輸送」「展示会やサンプル輸送」、個人のお客様は「お引越し」「海外への家族・友人への荷物発送」などの用途で利用します。
弊社は、特に台湾への輸出実績が豊富で、費用面やリードタイムについて、他社より優遇された内容で輸送することが可能です。
実際にどれくらいの輸送費がかかるのか、どれくらの日数で輸送できるのかなど、具体的な数字を確認されたい方は、一度お気軽にお問い合わせください。
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